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茨城県北ジオパークの再興とカンブリア化石の新資料 田切美智雄

昨年度、常設展に「日立の大地」コーナーが新設され、「茨城県北ジオパーク構想」の日立ジオサイトを紹介しています。このコーナーには日立産の化石が多数展示されています。特にカンブリア紀の化石は研究中のものが大部分です。
ジオネット日立では毎週1回以上、化石探索を行っており、新資料が集まっています。スペースの都合で全ては展示できないのですが、いずれ化石の特別展を行う計画です。その中から、今年5月の地球惑星科学連合学会で報告した化石を3点紹介します。

棘皮動物細管化石

1点は棘皮(きょくひ)動物の化石です。直径1~2mmで、中心軸をもつ細い管状の化石です。棘皮動物とはヒトデやウニなどですが、カンブリア紀には既にこれらの生物が現れていました。後の時代になるとウミユリが栄えますが、カンブリア紀にはまだ現れていません。発見された化石は棘皮動物の腕の破片と思われます。

管状動物這い跡化石

2点目の化石はゴカイやミミズの様な形の動物が海底を這い回った跡と思われるものです。直径2~3mmの管状のものが地層面に沿って分岐したり曲がったり、平行配列したりしています。泥や砂の中に住む動物の住み家や通路の化石と思われます。

三葉虫這い跡化石

3点目は三葉虫這い跡化石の2個目のもので、お腹を砂の上に押し付けて移動したような化石です。いずれも研究中で、特に棘皮動物化石は可能性の高いものです。8月以降に「日立の大地」コーナーに展示予定です。

昨年度に行われた日本ジオパーク委員会による再審査の結果、残念ながらジオパーク認定が取り消されてしまいましたが、現在も郷土博物館は茨城県北ジオパーク構想 日立ジオサイトの中心施設として活動しています。茨城県北ジオパーク構想は再度の新規認定申請に向けて活動を始めており、インタープリター(ガイド)の活動も従前と同様に大変活発です。ジオネット日立の会員は総計48名になり、常時20名以上がいろいろな活動に参加しています。4~5月の2ヵ月だけで13回の活動があり、同じ日に3つのイベントが重なることもありました。
多くの方に茨城県北地域と日立に来ていただいて、楽しみながら日立(そして日本列島)の大地の成り立ちを知り、そして日立の良さを肌で感じいただけるような活動を心がけていきます。そのためには、日立市・市民・インタープリターの連携が肝要で、市民の方々からの支持が欠かせません。是非、日立市郷土博物館の「日立の大地」コーナーの見学にお出かけください。

(たぎり みちお  日立市郷土博物館特別専門員、茨城大学名誉教授)


  • カンブリア紀:約5億4千2百万年前から約4億8千8百30万年前の時代
  • ジオサイト:ジオパークのみどころ。茨城県北ジオパーク構想には15のジオサイトがあります。
  • インタープリター:茨城県北ジオパーク構想を案内する大地の案内人(ガイド)
  • ジオネット:茨城県北ジオパーク構想のガイド(大地の案内人)グループで、現在、茨城県北の地域に8つのジオネットが有ります。ジオネット日立は日立市で活動するグループです。
  • 本コラムは日立市郷土博物館発行「市民と博物館」第127号の掲載文章を一部変更して転載しています。

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