常陸国「街道」ものがたり

久慈川と段丘のあいだを通る国道118号
久慈川と段丘のあいだを通る国道118号

9月、常磐自動車道が今後の工事の進捗などから平成27年にも全線開通できると発表されました。常磐自動車道は茨城県北ジオパークにとって、南北の往来の主要な道路のひとつです。

 

常磐自動車道のうち茨城県内は全て開通していますが、今後は宮城県から福島県にかけての山元―相馬IC間と南相馬―常磐富岡IC間が順次開通していく予定です。

ところで、常磐自動車道のように谷に橋をかけ山にトンネルを通すような大規模な工事が可能になった近代以前、この地域で南北を往来するには阿武隈山地や八溝山地を越えなければなりませんでした。そのため、山地を縦断する谷や海岸沿いの平らな土地が歩きやすさから自然に道となり、街道として発達していきました。

 

江戸時代の茨城県北地域では、山地の中央と西部を縦断するする谷が「南郷街道」と「棚倉街道」に、海沿いの平坦地が「岩城相馬街道」に発達しました。

 

そして現在では、これらの街道とほぼ同じルートを国道が通っています。南郷街道は国道118号、棚倉街道は国道349号、岩城相馬街道は国道6号です。さらに国道118号にはJR水郡線が、国道6号にはJR常磐線が平行して通っており、今も変わらずこの地域の重要な交通網です。

 

9月、常磐自動車道が今後の工事の進捗などから平成27年にも全線開通できると発表されました。常磐自動車道は茨城県北ジオパークにとって、南北の往来の主要な道路のひとつです。全線開通によって今後の発展が期待されます。

西から順に国道118号、国道349号、国道6号が茨城県北ジオパークを縦断しています。拡大して地形を詳しく見てみましょう!

 

では、このような山地を縦断する谷や海沿いの平らな土地はどのようにしてできたのでしょう?もちろん、もともとそこにあったものでも、偶然にできたものでもありません。どれも大地の成り立ちが深く関わっていたのです。

 

南郷街道(国道118号)が通る谷は、山地を南北に縦断して流れる久慈川が削ってできた谷です。

 

棚倉街道(国道349号)が通る谷は、日本列島の土台が作られるときにできた、列島を貫き日本海にまで達する棚倉断層の動きによって断層沿いが破砕・侵食されてできた谷です。

 

岩城相馬街道(国道6号)が通る海岸沿いの平らな土地は、太平洋の波が阿武隈山地を削ってできた海岸段丘や、海風で砂が運ばれてできた砂丘です。

 

このように、同じように南北を縦断する道も、大地の歴史の視点から見た背景はそれぞれに異なっていました。そして人々は昔から地形を利用しながら(あるいは制約されながら)生きてきたのです。

 

皆さんの周りの何気ない地形や古くからある道路や神社も、そこにある背景を見直してみると、大地の歴史の1コマにきっと繋がることでしょう。

 

(執筆・構成: 伊藤太久)